10月9日(日)猪風来美術館恒例の秋の縄文野焼き祭りが開催されました!
当日は夕方から雨の予報があり、焼き上がり時間を早めにするために、前日に野炉焼きを開始。野炉の火にあたりながら夜を過ごしてくれた3人の男たちのおかげで、朝方はほっかほっかの火床が出来上がっていました。
朝7時早朝スタッフミーティングでは、作品出しは8時ごろ、外あぶりは無しにして周りを火で囲んだ中あぶりをすること、周りの火の力と火床の蓄熱を頼りに、微妙な天候変化に備えることを確認。
9時に2回目のスタッフミーティング。縄文野焼きの進め方・注意点や心得について説明があり、野焼き成功へと心をひとつにして協力し合うことを確認。
今回は当館の陶芸教室生や、岡山県立大学での縄文ワークショップで作ってもらった土器など大小あわせて約100点を焼成。男女混合の野焼きスタッフは小学生2人を含めて約26人。これはこれまでで一番多く、初めて野焼き体験する方が半数以上でしたが、それぞれが力を合わせて良く動いてくれました。
作品が火炎陣の中で安定してきた頃、猪風来のまわりに野焼きスタッフが座って「カムイノミ」が行われました。野焼きが無事に終えられるように、大地や火、太陽、風、水など森羅万象に祈ります。母なる大地から産まれた全ての生命は母を同じくする同根であり、等価な生命の円環をなしています。縄文の造形・文様には、これらのあらゆる生命の豊かでありますように、という祈りが込められています。
縄文野焼きの炎の中で、縄文文様の施された土器たちは魂が込められ 新しい生命が宿って生まれ出てきます。命の循環-生死・再生はすべての生命たちにとって 祈りであり希望でもあります。
夜通し火床を温めていたので、炎の中で作品は順調に温度が上がっていき、色合いが刻々と変化していきます。茶から黒そして煤切れして赤みを帯びてくる。スタッフが材木を適宜足しながら炎は徐々に大きくなり、野炉は近寄れないほど熱くなりスタッフたちは皆汗まみれです。火と人が絶妙な間合いをとりながら接近し、半ば一体化したような瞬間。大きな野炉の炎はクライマックスに。新しい生命の誕生です!産まれたばかりの土器たちはなんとも初々しいです。天候が微妙で青空が望めなかったのは残念でしたが、無事に焼き上がって安堵と感謝の思いでいっぱい。
参加者は遠くからも来てくださって、県内各地はもちろん東京や大阪、愛知、兵庫、高知、徳島、鳥取、島根、広島など広範囲でした。今縄文文化に対する関心が高まっています。1万年以上にわたる平和な時代の持続と大自然と共にある精神文化が育んだ独自の縄文造形・文様に魅せられ、多くの人たちがここに集いその心と技を学んでいます。そして縄文時代と同じ野焼きで焼き上げる「祭り」を通じて縄文スピリットを体感できる場として、ここが存在感を増してきているようです。
開会式では法曽焼同好会小林会長挨拶や正村新見市教育長の挨拶や祝電メッセージのご披露がありました。
地元の法曽焼同好会員が、駆けつけてくださった仲間たちと共に裏方全般を担って、昼食の提供や受付・音響などで祭りを支えてくれました。
焼き上がった作品の中から、縄文野焼き大賞など4賞が選ばれ、表彰されました。
●縄文野焼き大賞 宮原由紀夫(大阪府箕面市)縄文土器
●新見市教育長賞 本多世来(岡山県立大学)縄文土器
●法曽焼同好会会長賞 戸田匠(兵庫県明石市)縄文土器
●猪風来美術館館長賞 山田洋介(島根県奥出雲町)縄文土器
作品焼成後は、野焼き祭りが無事終えられたことを大地や火、すべての森羅万象に感謝の思いを込めて「縄文大地の精霊ダンス」を踊りました。踊りが始まる前に雨が降り始め、雨の中での縄文ダンス――しかし踊る面々は、無事野焼きが達成できた喜びの中で満面の笑顔での舞。玄関の屋根の下で縄文太鼓がハートビートを響かせました。
野焼きスタッフの皆さん、美味しいカレーを作ってくれた皆さん、準備万端に裏方を担ってくれた法曽焼同好会、遠くから駆けつけてくださった皆様、その他協力してくださった全ての皆様に感謝!!本当にありがとうございました!
そして、この地で10年以上「縄文野焼き祭り」を支え、先頭に立って縄文の炎を燃やし続けてくれた村上原野にも感謝!いつも共にいて、守ってくれて、私たちを(人と、大地と、すべてのものたちと)結び付けてくれる。ありがとう!
【「第35回 秋の縄文野焼き祭り」チラシ】 →PDF版を開く |