10月13日(日)猪風来美術館恒例の「秋の縄文野焼き祭り」が開催されました!
私たちの心の底には太古の記憶が眠っている。生命を産み出した「海」、地球を多様な生命満ちる緑の星へと変貌させた「森」、太古の生命の記憶のままに縄文人は大自然とともに生き、母なる大地の肉である土にヒトが手を加え造形し、木を燃やし火の力をもって土器や土偶を作ってきた
2005年の猪風来美術館開館以来39回目の「縄文野焼き祭り」。自然と共に生きた縄文人の豊かな精神世界、造形・文様に込められた縄文スピリットの真髄を学び復活させ、未来を拓く現代縄文アート創造と発信を目指して活動してきました。
今春の企画展「火焔土器展」では 縄文人たちの手の跡残る貴重な土器を間近に見ながら学ぶことができる貴重な機会を得て、猪風来美術館に集う縄文作家たちは土器土偶を模写、また一般向けの縄文ワークショップでの作品たちも。春からの半年分の陶芸教室生、小学生から80代までの約130点の縄文土器や土偶・土面・オブジェなどを みんなで焼き上げました。
どれも縄文文様を施し、心を込めてつくった素晴らしい作品たち、縄文の魂に触れた命への祈りが感じられます。
当日早朝の白い霧が晴れると 澄んだ秋の青空が広がり、とびっきりの野焼き日和! 前日の野炉焼きの火が朝まで微かに残り、すっかり出来上がっている火床に 朝7時火入れ。縄文野焼き開始です。
当日の野焼きスタッフは41人。初体験の方が多かったのですが、これほど多い野焼きスタッフが揃ったのは初めて。東京・埼玉・神奈川など関東方面、京都・大阪・兵庫など関西方面、広島・鳥取・島根そして岡山など中国地方からやって来た方々。作品を作り縄文野焼きで焼き上げる体験を通して、縄文の心と技を本気で学びたいと思う人たちが増えているのを実感。次世代の多くの人たちに縄文の技と心を継承し、つないでいくことはとても大切で嬉しい限りです。
「カムイノミ」では「縄文野焼き」が無事やり遂げられるよう スタッフ全員で大地や太陽、火や風、森羅万象に祈ります。野焼きの火を前に、東の方向を向いて猪風来を中心に野焼きスタッフが勢ぞろいして座ります。縄文野焼きの場は大地の炎の子宮。自然の中で太陽や風や火の力によって焼き上げる縄文野焼きは、土器土偶などに新しい命を吹き込む助産ともいえます。
作品の炙りを充分にして、野炉の中心に作品を据え、周りに火焔陣を作り、徐々に火力を上げていきます。材木の入れ方、温度の上げるタイミング、炎のサークルの狭め方などは作品の色の変化で判断。白っぽい生の色が黒ずみ始め、濃い茶色~真っ黒~煤切れして赤みが現れるまで慎重に材木を配置。スタッフたち(圧倒的に女性が多い)が 大きくて重い材木を3~4人がかりで逞しく運びます。好天で野焼きには好条件ですが、火の周りはとても熱く皆汗まみれで必死、真剣な作業が続きます。
そして徐々に大きくなる縄文の炎は、大きな火柱を上げ800度越え、クライマックスの炎の子宮をつくり、新しい生命を産みだします。縄文土器や土偶、縄文土面やオブジェ、土鈴・勾玉など約130点が無事に焼き上がり~誕生です!炎のパワーを宿し縄文の魂がこもる素晴らしい焼き上がりとなりました。
開会式では法曽焼同好会小林会長や新見市教育部長、猪風来美術館後援会奥津会長のご挨拶がありました。戎新見市長も遅れて駆けつけてくれました。地元の法曽焼同好会員が、心を寄せてくれる仲間たちと共に裏方全般を担って、昼食の提供や受付・音響などで祭りを支えてくれました。ピオーネや猪風来美術館オリジナルTシャツの販売もありました。
焼き上がった作品の中から、縄文野焼き大賞など4賞が選ばれ、表彰されました。
●縄文野焼き大賞 三宅廣昌(笠岡市)縄文土器
●新見市教育長賞 梅田來幸(新見市矢神小)縄文土面
●法曽焼同好会会長賞 デュリス・ガブリエル(横浜市)縄文土器
●猪風来美術館館長賞 村上幸子(神戸市)縄文土器
野焼き祭りが無事終えられたことを大地や火への感謝の思いを込めて踊る「縄文大地の精霊ダンス」。2019年に縄文土器文様を参考に創作したダンス。振り付けを猪風来や村上原野などみんなで考え、中心になってまとめてくれたマイちゃんが今回踊りを指導、野焼きに居合わせたみんなで大きな輪になって踊りました。縄文太鼓の音に合わせ 大地を踏みしめるほどに笑顔と喜びが広がり 美しい青空に拡散!
野焼きスタッフの皆さん、準備万端に裏方を担ってくれた法曽焼同好会、いつも支えてくださる後援会の皆さん、温かく見守ってくれた皆さん、その他協力してくださった全ての皆さんに感謝です。本当にありがとうございました
【「第39回 秋の縄文野焼き祭り」チラシ】 →PDF版を開く |