4月29日(土)猪風来美術館恒例の春の縄文野焼き祭りが開催されました!
“縄文の炎” それはヒトが最初に手に入れた火の原初のカタチ「木を燃やす」ことから得られた火の豊饒である。大自然の母なる大地の肉である土にヒトが手を加え造形し、木を燃やし火の力をもって土器や土偶に命が宿る、縄文野焼きの真髄がそこにある。猪風来美術館の野炉に最初の火が入ってから縄文野焼き祭りも36回目。以来“縄文の炎”を絶やさず根源の美と真理を復活させ学び、大自然・大地と共に生きる道を創造してきた。
現在人類の欲動に突き動かされた文明暴走によりこの地球上の生命体系が破壊され、大地や海・山・空が汚染され危機的状況にある。そうした状況を正す力が縄文の炎にはあり、大地と心を結び 生きとし生けるすべての生命を尊く思う人々が、炎の周りに集まってくる。春の縄文野焼き祭りは「縄文の炎を未来1万年の道標とする」“のろし火”であった。縄文太鼓演奏は大地の鼓動と炎に共振し、ダンサーたちは縄文循環~万物の生死再生の祈りを表現し、義足のダンサーは人々の魂を渦巻かせて引き込み大地と融合するパワフルな存在感を示し 心を熱くする感動を誘った。
野炉では縄文土器・土偶を大地が抱き 炎がつつみ 天空がささえている。小さな雨粒を吹き飛ばすように野焼きスタッフたちが運びくべる木々と火の力が加わって、魂込めた作品に命が宿っていく。炎の子宮から生まれでるその時に向かって。
本当にこの素晴らしい感動の渦は、縄文を復活させ新しい未来を輝かせる力あるものでした。感動をありがとう!
(猪風来)
昼頃からの雨の予報のため 前日夜8時に泊組のスタッフたちが野炉焼きを開始、夜に野炉の火絶やさない様に火床を守ってくれました。早朝5時には集まった野焼きスタッフたちは野炉の真ん中を囲むように火を広げて、中で作品を炙るように野炉を整えました。7時作品出し、周りを火で囲んだ中あぶりをする。周りの火の力と火床の蓄熱が突然の雨粒に備えます。遠くから来られる野焼きスタッフも早めに駆けつけてくれました。
火力は順調に高まっていき、作品の色の変化もゆっくりと変化していきます。はやる気持ちを慎重にいこうと抑えながら総勢18人の野焼きスタッフは心を合わせて火を燃やし続けます。今回は当館の陶芸教室生が作った土器や土偶約80点を焼成。
祈り(カムイノミ)
9時頃 猪風来のまわりに野焼きスタッフが座って 野焼きが無事に終えられるように大地や火、太陽、風、水など森羅万象に祈る「カムイノミ」が行われました。母なる大地から生まれた全ての生命は母を同じくする同根であり、等価な生命の円環をなしています。命の循環-生死・再生はすべての生命たちにとって 祈りであり希望でもあります。
縄文太鼓演奏と縄文コンテンポラリーダンスのステージ!
大地と緑の山々と縄文の炎と縄文コンテンポラリーダンス・縄文太鼓のコラボレーション。本当に稀有な素晴らしい最高の空間を出現させました!
縄文太鼓が高らかに広場に響き渡り、縄文ステージの開始を告げる。縄文衣装を身にまとった3人のダンサーが竪穴住居から一人ずつ登場して踊りが始まりました。
ソロで大前さんが仮面と全身を包む衣装での異形の姿で登場。外の衣装を脱いで義足も外した生身の体で大地に臥し、大地と心を結び生きる圧巻のダンスを披露。宮原・藤井さんのペアは縄文の文様入りの衣装で生命の「縄文循環」ダンスを披露。かけがえのない生命への思い・祈りを、生命の躍動と愛おしさも含めて心を込めて踊りました。
今回のダンスのテーマは「大地へ~鎮魂と再生」と生命の「縄文循環」。大地の鼓動に共振する縄文太鼓の自在な音がうねるように広場の空間に満ち、新緑の山々や縄文野焼きの炎が燃えさかるその時、大自然と母なる大地とすべての生命たちへの祈りが込められたダンスが繰り広げられ、観るものの心を揺さぶる深い感銘を与えてくれました。
【縄文太鼓】茂呂剛伸(北海道)
【縄文コンテンポラリーダンス】宮原由紀夫・藤井泉(大阪)大前光市(東京)
感動のステージを引き継いで、野炉の状態も万全に仕上がっていて一気に攻め焚きからクライマックスへ。野焼きスタッフたちが大きな声を発しながら次々に材木を投入していき火のパワー全開です。火と人が半ば一体になりながらの作業。火が落ちてきたころを見計らって燃え残りの材木を崩していくと 産まれたての土器たちが姿を現しました。新しい生命の誕生です。
縄文文様衣装登場!
今回の野焼き祭りに間に合うように制作が進んでいた、村上原野の縄文土器文様を使った縄文デザインのステキな作務衣と羽織が出来上がりました。井原市のデニムメーカー青木被服との連携でできた縄文衣装です。縄文コンテンポラリーダンスや縄文野焼きスタッフの衣装になりました。いつも共にいて守ってくれている原野文様は最高です!
参加者は県内各地はもちろん北海道や新潟、東京や大阪、兵庫、高知、鳥取、島根、広島、鹿児島など広範囲から。1万年以上にわたる平和な時代への興味や大自然と共にある精神文化が育んだ独自の縄文造形・文様に魅せられ、多くの人たちがここに集いその心と技を学んでいます。そして縄文時代と同じ野焼きで焼き上げる「祭り」を通じて縄文スピリットを体感できる場として定着しています。
開会式では法曽焼同好会小林会長挨拶のあと、戎新見市長・小林県議・奥津猪風来美術館後援会長・古谷九州大名誉教授の挨拶や祝電メッセージのご披露がありました。
また地元の法曽焼同好会員や後援会の方々が、駆けつけてくださった仲間たちと共に裏方全般を担って、筍カレーなどの昼食の提供や受付・音響などで祭りを支えてくれました。
焼きあがった作品を火からすべて取り出した後、野焼き祭りが無事終えられたことを大地や火、すべての森羅万象に感謝の思いを込めて「縄文大地の精霊ダンス」が行われました。観客・野焼きスタッフ・裏方さん・ダンサーの方々も輪になって、茂呂さんの縄文太鼓に合わせて、無事野焼きが達成できた喜びの舞を踊りました。
「縄文の炎」を共に支えてくださった方々と 絶やさずに燃やし続けてこられたこと感無量です。ご参加・ご協力いただいた全ての皆様に感謝です!本当にありがとうございました。
【「第36回 春の縄文野焼き祭り」チラシ】 →PDF版を開く |