4月28日(日)猪風来美術館恒例の春の縄文野焼き祭りが開催されました!
開館以来19年目38回目の「縄文野焼き祭り」。この日は前後の日程に雨が入り、本当にこの日だけが青空と太陽が輝く特別な野焼き日和になりました。
―縄文土器は生命を抱く器 そして母なる大地の化身―
世界最古級の土器文化『縄文』は1万6千年以上前の日本列島に生まれ、造形美と豊かな精神性を内包し花開きました。縄文文様には大地に生命満ち溢れますようにという祈りが込められています。
縄文人の豊かな精神世界、造形・文様に込められた縄文スピリットに感応し、縄文の心と技を習得する場を求めて各地から集う人々が増えています。そして縄文土器や土偶を作り焼き上げる人たちの輪が広がり素晴らしい縄文造形作品が生まれてきています。
猪風来美術館はその中核となって「縄文の炎」を燃やし続けてきました。
朝7時にはメインのスタッフが集まり火入れ。前日の野炉焼きで残った火種に朝の火おこしで灯した火を加えて縄文野焼きが始まりました。
順次到着するスタッフたちは9時ごろには総勢30人近くが揃い、スタッフミーティング。初めて作品を作って野焼きも初参加の方々が多く、森羅万象の力を借りて無事に焼け上がるよう、更に怪我や火傷への諸注意や心構えを確認。土器や土偶の炙り焼き、火焔陣の中へ作品を配置、材木の組み方など 丁寧に細心の注意をして進めていきます。
「カムイノミ」では「縄文野焼き」が無事やり遂げられるよう スタッフ全員で大地や火、太陽、風、水など森羅万象に祈ります。母なる大地から産まれた全ての生命は母を同じくする同根であり、命の循環-生死・再生は祈りであり希望でもあります。
炎の中で作品は温度が上がるほどに色合いが刻々と変化します。
茶から黒そして煤切れして赤みを帯びてくる。スタッフが大きな材木と小さい材木を絶妙に組み合わせて足していくと炎は段々大きくなり、野炉は近寄れないほど熱い。火と人が絶妙な間合いをとりながら接近したり離れたりしながら、野炉の炎はクライマックスに。
縄文野焼きの炎の中で、縄文文様の施された土器たちは魂が込められ 新しい生命が宿って生まれ出てきます。縄文土器や土偶、土鈴・勾玉など約100点が無事に焼き上がりました。
開会式では法曽焼同好会小林会長や新見市谷本教育部長、猪風来美術館後援会奥津会長のご挨拶がありました。
新見市戎斉市長、小林県議や小野田参議院議員も駆けつけてくださいました。
地元の法曽焼同好会員が、仲間たちと共に裏方全般を担って、昼食の提供や受付・音響などで祭りを支えてくれました。猪風来美術館オリジナルTシャツなどの販売もありました。
参加者は県内各地はもちろん東京や大阪、三重、奈良、兵庫、徳島、鳥取、広島など広範囲からたくさん来てくださいました。
館内ではちょうど【企画展】「縄文美らんまん 火焔土器展」を開催中!
企画展示室の5000年前の新潟県信濃川流域の縄文人たちの土器・土偶に触れ、外では今まさに現代の私たちが火焔土器を含む土器土偶を炎の中で野焼きしているシーンが現出。万年の時空を超えて縄文と今が繋がっていると実感できるまたとない機会になりました。
今を生きる縄文、未来を拓く現代縄文アートの創造を!
作品焼成後には皆で輪になり、縄文太鼓の音に合わせて 大地や火・森羅万象に感謝して「縄文大地の精霊ダンス」を踊りました。大地を踏みしめるほどに元気に、縄文の炎にふれ大地とそこに満ちるたくさんの生命を感受する一日になりました。
野焼きスタッフの皆さん、準備万端に裏方を担ってくれた法曽焼同好会、いつも支えてくださる後援会の皆さん、その他協力してくださった全ての皆さんありがとう!19年間の縄文野焼き、その間この地に沁みこんだ「今を生きる縄文」の記憶に思いをはせています。この地の森羅万象とこれまで関わってくださった皆様に感謝の思いでいっぱいです。
【「第38回 春の縄文野焼き祭り」チラシ】 →PDF版を開く |