【土田哲也×中山裕那 縄文土器と土偶二人展チラシ】 →PDF版を開く |
永くながく大地の下で眠っていた縄文の種子たちが、いま次々と芽吹いてゆく。
2千年の忘却は、けれどもかつて縄文がわれわれの足元で根源を育んだ万年に比べればいささかの一睡でもある。
土田哲也は、若き日の太古への興味から縄文に魅せられて縄文土器づくりの道に入った。
修行をへて創作に至ってからは熱帯植物の生命力滾るかたちを土器文様に昇華して独自の世界を展開し、また
植物そのものと融合した“縄文植器アート”も創作している。
中山裕那は、すべてに寄り添う縄文の世界観の中にみずからの心の置き所を見出した。
あらゆるいのちへの祈りを率直に謳い上げるおおらかで豊満な土偶たちは、見る者によろこびの歌を聴かせて
くれる。
現代に縄文造形の心と技を復活させた猪風来美術館で学んだ2人の作家が、またあらたな今を生きる縄文の美を
魅せてくれる。
縄文土器と土偶の二人展、ぜひご覧ください。
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土田哲也 ‐Profile‐
縄文土器作家
新見市哲西町生まれ、現在住。
高校時代、帝釈峡の縄文遺跡と縄文土器に触れてたとえようもない感動を覚えて以来、縄文土器づくりへの
あこがれを持ち続ける。
2009年より猪風来美術館で縄文土器づくりの修行を始める。
2013年、猪風来美術館にて『土田哲也 縄文土器展~縄文に魅せられて~』個展。
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‐心の中の縄文と植物の精霊たち‐
あれからどれくらいの時がたったのでしょうか。
わたしが生まれるより前、婆様より土器作りの手ほどきを受けてから……。
悠久の時が流れ、心の中から忘れ去ってしまっていた記憶。
わたしが縄文遺跡に立ったとき、1万年の時をへて浮かびあがってきた記憶。
また、赤道直下の熱帯雨林の中から精霊の気配を感じ取ったとき。
そしてこの法曽の地で縄文土器に出逢ったとき、縄文の記憶は完全に呼び覚まされました。
それから10年のあいだ縄文土器と向きあい、作り続け、あの熱帯雨林で出逢った植物のかたちのおもしろさ、
その珍妙さを土器の中に入れ込みながら、婆様のことを想い出しつつ縄文土器を作ってきました。
これがその10年目の区切りです。
― 土田哲也
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中山裕那 ‐Profile‐
縄文創作家
北九州市生まれ。1990年より岡山に在住。
2012年、岡山禁酒会館で建築家・松井学と“祈りのかたち”をテーマとし『邂逅展』を行う。
以後、人の心に寄り添う作品を志し、お地蔵様やシーサー等を制作しながら、岡山・鳥取・出雲で作品展を行う。
2014年、縄文造形家・猪風来の縄文造形と縄文野焼きに感動し、以来、猪風来美術館に通い縄文土偶の創作を
続ける。
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人と人との敬愛や尊敬だけではない、すべてのものの尊厳への祈りを実感したとき、わたしの世界が広がり
ました。
はじめて縄文野焼きを経験したとき、まず火の熱さにおどろいて無我夢中になり、ひたすら炎を感じ風を感じ
すべてを感じることでいっぱいになりました。
これまでの自分が消えうせる瞬間。
その魅力をもっと体感したいという思いからはじまった創作は、いまわたしの生活サイクルとなっています。
かつて縄文の人々は美しい文様の土器でいのちを自分の中に受けいれ、土偶をつくることでいのちが自分の中
にいるよろこび、いのちを育むよろこびを表してきました。
そうした気付きを受けとるのはなんとありがたいことでしょう。
あらゆるものを受けいれるおおらかさとよろこびをかたちにすることは、いのちの循環の中にわたしを置くこと。
そのすばらしさを感じていただければ幸いです。
― 中山裕那